「…で、何でこんな事になっているのかしら」
廃墟と化した紅魔館を背に目の前で必死に土下座しているメイドを見下す様に眺める。
いや、廃墟と言うよりは瓦礫と言った方が正しいのかもしれない。
「すみませんとしか言いようが御座いません」
「その事を攻める前に聞かせてくれないかしら。どうやって此処まで紅魔館を破壊できたのかしら?」
その瓦礫の山を見ればあちらこちらでまだ火が燃え盛っている。
黒白対策で常に結界を張っていた図書館及び紅魔館深部は被害が及んでいなかった物の、
甚大なる被害を被った事に間違いは無いだろう。
しばらく口を硬く閉じていた咲夜はなにやら決心した様に語り出した。
「つまり……不運な偶然の連鎖で御座いますお嬢様」
「回りくどい。直に言いなさい直に」
「じゃあお嬢様が大好きなピタ○ラス○。チにてご想像してください」
まだ回りくどいと言うのに…。
ちなみにピ○ゴラスイッ○と言うのは最近スキマチャンネルで流されている子供向けの番組だが、
それに度々登場するギミックは大人顔負けの物理計算によって作られている。
……別に子供番組を見ている事を馬鹿にされたくないから大人顔負けと言う言葉を使った訳ではない。断じて。
「つまり、シエスタしていた中国を仕置きしようとしたら魔理沙が現れて」
「毎回恒例のアレかしら?」
「ええ、それを阻止する為に打ち落としついでに中国に仕置きをする気持ちで時を止めて中国を投げ飛ばしましたら……」
「引火して爆発したとか?」
「あり得ません。ですがグレイズです。中国と魔理沙が激突した瞬間にマスタースパークの為に集まった魔力が八卦路から無差別に放出されまして」
「ああなったと? なら貴女にさしたる責任は無いと思うのだけれど」
「いいえ、パチュリー様が庭でロケットを作っていまして運悪く……」
「地上の星となった訳ね。負傷者は?」
「2人です。パチュリー様は防護魔法の使い過ぎで今頃救護室でむきゅーむきゅー言ってるかと」
「無事みたいね。所でそこの燃えカスも早く連れて行かないと間に合わなくなるわよ」
燃え尽きた中国を見るや即座に咲夜は姿を消した。
まぁ、何万ガロンの燃料が弾ければ間違いなく紅魔館を全滅させるような爆発力を有するの筈なのだが、
それが無かった上に負傷者がほぼ0なのはパチェの魔法だけでは無かったのだろう。
咲夜が爆発の瞬間に時を止めて燃えていない燃料を爆発圏外へ運んで、
さらに紅魔館中の妖精メイドたちを一人一人退避させた。
しかし咲夜は時間が足りずに既に爆発に巻き込まれていたパチェと門番を救うことが出来なかった事。
何よりも爆発が起きる前に時を止められなかった事と間接的にでも原因を作り出した事を謝ったのだろう。
それにしても…。
「派手に壊れたわね」
見る影も無い紅魔館を眺めながら呟いた。
しばらくどうやってメイドたちを住まわそうか。
それだけが頭の中で混沌と渦巻いていた。
運命の赤い糸を目視する能力の制御に成功して4日目の事であった。
最初っからクライマックス(爆発オチ)だぜ!
…なんか間違っている気がするけど気にしない!
ちなみに多分続かない。
続いてもレミリア様が香霖堂でしばらく生活するだけ。