ある晴れた日のこと、とでも表現すれば何とかなるかもしれないとそう思うほどに変哲も無いその日。
強いて言えば少しだけ、冬には珍しい強めの日差しが昼寝を催促させる陽気な太陽。
されど紅魔館の中にその日差しが届く事も無く、普段よりほんの少し寒さを覚える朝を迎えた紅魔館は
いくらか降りた霜によってその紅色を失いつつあった。
外とは全く関係無く薄暗くて埃が酷い図書館で、ちょっとした出来事があった。
見れば普段いる場所に主人が座っていない。
魔法使いは睡眠をすることはないし、ならば考えられる事は発作が悪化して病床に伏したなどだろうか。
「え?本格的に療養?」
悪魔の羽に赤い髪が特徴的な史書が少々驚いた様子でそう言った。
言われた銀髪のメイドも、何か思う節があるように目線をうろうろさせていた。
「まさかパチュリー様が図書館を長い事出るなんて、私が生きているうちに見れるなんてね」
感慨深そうに、薄暗い図書館に目を向ける。
寿命とかは置いといて、話の中心である彼女が長期に渡り図書館を離れることは有り得ない事だったのだろう。
長い事この図書館に勤めている、いや彼女に勤めている悪魔である小悪魔本人も驚くばかりだった。
「長期療養って、そんなに病状は深刻では無かった気がしますが…」
「逆に調子が良かったみたいね。調子がいいうちにさっさと直したかったとかじゃないかしら?」
「成る程、でもこの幻想郷でそんな療養できる場所なんてありましたっけ?」
「永遠亭の薬師なら話は別よ。むしろ完治出来るんじゃないかしら」
「う、ちょっと元気になられても困るかなぁーなんて」
「お仕置きが当社比10倍の威力になるでしょうね、ご愁傷様」
「うーん、複雑です」
確かに、永遠亭の薬師に頼れば彼女の喘息も幾らか回復される事だろう。
…・・・むしろ回復しきるかもしれない。そうなればロイアルフレア等の高等魔術を自在に操れることになる。
普段喘息によって能力に制約を掛けられた魔女にとって最高の出来事なのだろうが、
彼女の部下、下僕である小悪魔にはうれしくもあり悲しくもあり、と言ったところか。
―――複雑?いったい何が?
え?っちょ、何をするこぁくぁwせrfgyふじこ
さっきから何か小うるさい地の精霊を圧殺しつつ、私は笑いを必死にかみ殺していた。
……ブツブツ小うるさいからいっそ地の文の精霊にでもなれば幸せでしょうね、天国で。
ともかく、パチュリー様がこの場から消えると言うことには違いは無い。
更に言えば私を連れて行かなかったという事はその間私に留守番をして欲しい。と言うことだろう。
だけど、私とパチュリー様の間に交わされた契約には定期的に魔力を供給して頂くことも含まれている。
つまり勝手に約束を破棄されてしまった、と言うことになる。
逆に言えば当分私は自由になれると言う事だ。
ああ!何と甘美な事か!
図書館の管理は毛玉に押し付け自分は好き勝手に行動できる!
お出かけするのも勝手!悪戯し放題美味しいご飯粗相になり放題遊び放題怠け放題!
今まで不当な契約内容で無理に押しつけられていた分しっかりと好き放題させて貰おうじゃないか!
「あ、そうそう。留守番よろしくと伝えておいてですって」
「はい、わかりました」
留守番なんてするわけが無いだろう私はこの自由な時間を使って自由に生きるんだ。
誰にも私を止めることは出来ないのだ!アーッハッハッハッハ! あー、久々に悪役っぽい事考えられて嬉しいなぁ。
とか考えていると早速不当な労働条件を押し付けられたにも拘らず、
あくせく働く汚い毛玉たちを見つけたので虐待することにした。
他人の目に触れるとまずいので自分の部屋に連れ帰る事にする。
嫌がる毛玉を風呂場に連れ込みお湯攻め。
充分お湯をかけた後は薬品を体中に塗りたくりゴシゴシする。
薬品で体中が汚染された事を確認し、再びお湯攻め。
お湯攻めの後は布でゴシゴシと体をこする。
風呂場での攻めの後は、全身にくまなく熱風をかける。
その後に、乾燥した不味そうな赤いPと書かれた塊を食わせる事にする。
そして私はとてもじゃないが飲めない緑色の飲み物を買ってきて飲ませる。
もちろん、沸かした後にわざと冷やして98ど前後になったものをだ。
その後は棒の先端に無数の針状の突起が付いた物体を左右に振り回して
毛玉たちの闘争本能を著しく刺激させ、体力を消耗させる。
ぐったりとした毛玉達をダンボールの中にタオルをしいただけの質素な入れ物を、
大量に作ったので放り込み寝るまで監視した後に就寝。これで毛玉達は明日からも頑張って働いてくれることだろう。
この日の私は凄い充実感を感じていた。
で、次の日に後悔した。
結局仕事、しかも面倒な部類に入ることを率先して行う自分自身を恥じた。
いや、たしかにあのモフモフ加減は八雲の式を髣髴とさせるものもあり、
それが汚れていると言うことは耐えられない事ではあるが…・・・。
悪魔らしくないので今日こそきっちりと悪行を行うことにしよう。フフフフフフフ
今日は門前にナイフが刺さった汚い美鈴を見つけたので虐待することにした。
他人の目に触れるとまずいので紅魔館に連れ帰る事にする。
嫌がる美鈴を毛玉と同様に服をひん剥きひん剥かれ、風呂場に連れ込みお湯攻め。
充分お湯をかけた後は薬品を体中に塗りたくりゴシゴシする。
薬品で体中が汚染された事を確認し、再びお湯攻め。
特に紅く長い髪は充電的に汚染する。こんな綺麗で美しい髪を持つのは私一人で良いのだ。
お湯攻めの後は布でゴシゴシと体をこする。
風呂場での攻めの後は、全身にくまなく熱風をかける。
その後美鈴に私に同じ事をするように命令。
私の命令を喜んでするこの子が愚かで笑いが耐えられない。
頭を撫でられ抱きつかれたときなど堪えることが出来なかった。
その後に、不味そうな小麦粉を工程に従って練ったものを食わせる事にする。
そして俺はとてもじゃないが飲めない白いソースを乗せて食わせる。
もちろんアルデンテ。
その後はパジャマに着替えて彼女と互いに枕を投げ合い、
彼女の闘争本能を著しく刺激させ、体力を消耗させる。どちらかと言うと私のほうが疲れたが気にしないことにする。
ぐったりとした美鈴を質素な自分のベッドに放り込み、寝るまで監視した後に就寝。
で、また後悔。
いや、確かに楽しかった事は間違いないし、
ご飯を与えた際に泣きつかれたことは嬉しかったさ!
だけど正直悪魔らしくない嗚呼そうとも!
それにしてもこんな天使みたいな寝顔で寝る美鈴は可愛い。
愛玩動物的な意味でずっと世話したいくらいだ。じゃなくて。
とりあえずこいつの主人には1週間ほど休みを取らせるように言ったのでこのまま寝かせても良いだろう。
このまま置いといて、私は悪魔らしい行動云々を考え、行動してみることにした。
とりあえず目の前の豊満なバストを揉んで見た。
……無反応でつまらないし、何か悪い感覚に襲われたので放棄。
メイド長の仕事の邪魔をしてみた。
具体的には妖精メイドに怠けるよう指示。
すると突然働き出した妖精メイド達に唖然とするメイド長。
しばらく彼女は妖精メイドが働くと言うことで休暇を貰える事になったそうだ。
その所為で褒められ感謝された。何故。
地下に閉じ込められた妹様に無理やり知識を叩き込んで虐待することにした。
勉強嫌いだろうし効果はあると踏んだが、そんな事は無く知識を普通に吸収していた。
悔しいので泣かせることにした。泣いた赤鬼と言う絵本を渡すと遠方から監視しつつ放置。
案の定お姉さまお姉さま御免なさいと泣き出す彼女をベアハッグ、意識を失うまで続けた。
すーすーと涙を零しながら寝息を漏らす彼女を放置。他に回る事にした。
門番にとても食べられなさそうな残り物で作った食事を与える事にする。
満腹になり満足したのか寝てしまった彼女を無理矢理起こして風呂に叩き込む。
再び薬品付けにすると無理矢理やりかえされた。
悔しいので湯に使っているときに抱きついてじゃれることにしたが、
何故かまんざらでもない顔をする。何故。
その後入ってきたメイド長にも美鈴と結託し、無理矢理薬品付けにした。
普段はサラシを巻いているのか私よりは多少劣るがスラリとしたスタイルが妬ましいので重点的に漬ける。
そして3人で湯に浸かりながらあれこれ情報交換や他愛の無い会話を行う。
偶に上司の悪口を吐き、彼女達の鬱憤を晴らしつつこっそりと反骨させる。
具体的には大昔、捨てられた私と主人の出来事だ。
……が、なぜか言う度に彼女達が涙を潤ませるのは何故だ。
別にそこまで酷い事は言っていないのに変な奴らだ。
その後昨日と同様に部屋に連れ込み酒を飲ませて寝ている間にベッドに運ぶ。
酒の飲み比べで私に勝てると思った哀れな二人を無理矢理狭いベッドの両側に置いてぐっすりと就寝。
で、起きてから自分のやってきたことは何となく間違いではないような気がして来た。
が、悪魔らしくないので悪魔らしく図書館で悪事を働く事にした。
いつも主人が本を読んでいる席に積まれている本をこの際一気に仕舞う。
これで覚えて置いといた筈の本が無くなって慌てることは間違いないだろう。一人笑いをかみ殺す。
ついでに図書館内の換気を行って埃を毛玉達にすべて吸収させた。
これで私が、快適にここで過ごせることになるだろう。
主人の同意無しに快適環境を作り出す……悪魔らしいぞ私!
そういえば昨日メイド長が今日主人が帰ってくることを言っていたのを思い出し、
慌てて史書の仕事に戻る。悪事はあくまでこっそりとするものだ。
仕事は大層溜まっていなかったので直ぐ主人を迎えに出ることが出来た。
寂しかったのか即座に抱きついてくる彼女を見て調教成功をひそかに喜ぶ。
完治した彼女の世話をする必要はありませんね。と契約に触れることを言うと、
涙目で契約変更を訴えられた。結局変更事体に問題は無かったので魔力の供給を増やさせ、
今後の行動に生かせる力を得ることが出来た。
当分白黒の迎撃に彼女を使う必要も無ので、
白黒の撃退は私に任せろと遠まわしに戦力外通告をすると、
何故か喜ばれた。私の周りの奴らの行動理念が理解できない今日この頃。
暫くの自由な合間に悪魔らしいことが出来たなと感慨深く考えながら、
今日も史書帳に出来事を纏めて就寝。
先程から恨めしそうに私を見つめる地の文の精霊に主権を渡すと、
ふふふ、流石私。あくまで悪魔ですからー。とか適当なことを書かせて再び寝ることにした
……まぁ、こぁちゃんらしいというかなんというkGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
~落ちも無く終わり~
霖之助出そうと思ったけどこれ以上変になっても困るので自粛。
偶にはこういうアホなのもいいよね!?
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