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20 . April
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17 . March
駄文を後悔しつつ公開。
テンションの落差を意識したSSです。
ぶっ壊れ上等


 


所謂十五夜。

しょせんではなくいわゆる十五夜の夜。
十五夜とは満月の事。・・・だったと思う、うん。
なんだよ。別に自分から切り出しておいて不安になったとかそういうのでは無いんだぞ? 勘違いするな。
兎は十五夜のお月様を見て跳ねるというがこちらの兎はと言えば、


「今日は呑むぞー!」

「てゐ大佐に続けぇええええ!!」

「食欲を持て余す。 ガツガツガツ」

「手前も飲めー!」

「ぬわー!」


酒盛りなんぞしておる。
それも盛大に、ど派手に、わんさかわんさか居る。
あっちではウサギ達が大吟醸なる酒瓶が開けられ、此方では蓬莱人という名の酒を啜る蓬莱人の姿がある。
実にシュールである。うさぎは今では月を見て跳ねぬ。蓬莱人も蓬莱を見て肴とする。
そういう何処か現実というより理想と言ったほうが正しいであろう、それからかなりずれた光景が広がっている。


もうこの世には十五夜を見て跳ねる兎など居ない。
少なくともこの幻想郷では、だ。


昨今まで月を見上げて涙していた兎が一匹居たものの今では見る影も無く笑顔を配り歩いている。
無料配布である。駅前のティッシュ配りの如く、デパート前のチラシ配りの如く振舞っている。少々配りすぎと言わんばかりである。


もしかしたら文頭でしょせんと使ったほうが良いのかも知れなかっただろうか。
月の民や月に関わりがある物達は月などお構いなくはしゃぎまわっているようだった。
もしかしたらこの幻想郷で月を意識する者など居ないのではないかと錯覚してしまいかねない程だろう。


それは錯覚。
満月を意識しないものなど居ない。
現に目の前のウサギたちは満月を魚にしている。
その時点で無意識でも月を意識しているという事になる筈だ。


結局此処幻想郷でも満月と言うのはいろいろな人物に愛されているのだ。
時に月見酒。あるいは普通の月見。さもなければ普通でない月見。
幻想郷の住民は確実に月の恩恵を漏らさず手に取っているのであった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

十五を冠にするものがあればそれに近いものを冠にしない者は余り居ない。
故に十六夜咲夜は満月のみならず夜が好きだった。


主人がある種、夜の帝王を名乗っている。夜は主人の時間、主人が己の力を最も美しくかつ、強く振るえる時だから十六夜咲夜は満月が好きだった。


真夜中、月明かりが照らすテラスでは件の夜の帝王が優雅に血のように真っ赤なワインを口にしている。
その傍らに立つ従者十六夜咲夜は何時もと変わらぬ涼しい顔で其処に佇んでいた。

 

「今宵は満月、月を見ながら一杯ってのは何処か古臭いけれど。風流っていう感じがするわ」

「お嬢様 ワインを呑んでいる時点で風流とは別段だと思われます」


ワインを片手に月を眺めている己が主人を見据えて指摘をする。
紅魔館の主人である人物に自分を陥れるような目にあって欲しくは無かった。
故に主人であろうとも間違いがあれば指摘するべきと従者でありながら最近ようやく学んだ事であった。

 

「解ってないわね。風流ってのはお酒の種類じゃないわ。それが酒であって、そして情緒ある肴があるならばそれは風流なのよ」

「全然違いますわ」

「手厳しいわね」


苦笑を溢しながらも笑顔を絶やさない主人に少々気の迷い的な感覚を覚える。
其れ程までに満月の月明かりに照らされた主人の姿は美しかった。故に満月は好きだった。


「…手厳しいも何もパチュリー様に聞けば一発で解る事でしょう」

「じゃあ如何いう事が風流なのかしら?」

「季節を感じられる事が風流と言うそうです、確証はありませんが」

「…それは古典で言うおかしって言葉じゃなかったかしら?」

「おかしとは趣、もしくは風情があると言う言葉の意味だったかと。つまりそういう事かと」

「成る程。 …いとおかしなら凄く風情があるって意味だったわね」

「確かそうだったと記憶しています」


また、それは主人の方も同じ考え方をしていた。
満月は自分にも自分の所有物にもある種の美を与えてくれる。

十六夜と冠とするのに満月に照らされて美しく気品を持ちながら佇んでいる咲夜を見て自分よりも綺麗と思ってしまう程にだ。
だから満月が好きだった。真っ赤であればなお更良かった。

 


「…今日の満月はいとおかしね」

「お嬢様、言葉の使い方ががおかしいですわ」


ただそれだけの話。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

この世に十五夜を望む者があれば望まない物もいる。
満月に影響されて変化する手の妖怪の一部がそうだ。
特に本人の意思とは関わり無く暴れだす手の人外がその部類だろう。
自分で持て余す力は必ず自分に帰ってくる。暴れれば押さえられ押さえられたら暴れるものだ。

現に目の前の狼男は夜雀に退治され終わった後で軽く虫の息であった。


「毎回満月の夜になるたびに襲われても困るわよ。次来たらミンチにして串団子にしてやるわ」

「おおっと待った! 私は姿焼きが良い! 肉質の体を見せろ~!」

「其処の腐女子自粛しなさい!」


どちらかと言うと毎月好きでもないのに暴れさせられた挙句、完膚なきまでに叩きのめされる彼は可愛そうであった。
しかも死刑宣告のオマケ付。来月には犬の串焼きの出来上がりとなるだろう。
この狼男が引っ越したりなんらかの努力をしない限りは。

夜雀の少女、ミスティアが言っている腐女子とは自分の欲求に誠実な女性の事を指すと言うらしい。
早速上半身裸の狼男を見て発情している犬猫の妖怪が二匹か三匹沸いている。腐女子自粛。


「満月の夜になると盛況するけどこういうのはお断りね」

「だったら俺はどうだ! 決して悪いようにはッブ!!」

「ムサイ奴は黙っておとといきやがれ! 私は美形の方が好みよ!」

「大体テメーは調子に乗りすぎだ! みすちーファンクラブ第3条基本求愛行動しないを破るなこのタコス!」

「私の可愛いミスティアに手を出すなんてそんな事はさせないよー」


ラーメンを顔に被せられた挙句股間にウドンかけられて更には好みではないとはっきり断られたこの男も中々に可愛そうである。
まぁ、死ぬよりはよほどましだとは思うが…。

「さて! 好みじゃなくても好きといわれて嬉しくない女が居るのか!? さていないという事で一部割安にするから皆呑んで行きなー!」

「ウォオオオオオオ!!」


気前良く接客する八目鰻の屋台は今日も大繁盛だとか。

「まぁ実際全然割り引かないけどねー。」

「あんまーーーりだぁああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 


満月を望む、望まない以前に受け止めている人物達がいる。
それは所謂半妖と呼ばれる者達。満月になると妖怪の血が濃くなり、場合によっては凶暴化したり能力が向上する事が大概だ。
彼らは満月の竹林に赴いてみるとそこでよく酒盛りをしていたり真剣な話し合いを行なっているそうだ。

半妖、上白沢慧音は満月にそれ程意識は置いてはいなかった。
それは自分自身の能力をある程度完全にコントロール出来るからであり、その能力が畏怖されるようなものでないのも理由だろう。
歴史を操るどうのこうのより恐ろしい物が幻想郷には存在する為、半妖の中でも慧音は浮く事がなかった。

森近霖之助もそうだった。
満月になっても自身の体に変化は一切無い。


強いて言うなら髪で隠せる程度に額に突起が出る事と眼光が少し鋭くなる程度で能力自体には全く影響が出ない。
それ故他人にそれが知られることも無く平穏に暮らして来れたのだろう。
ただ寿命の諍いがあったので現在は香霖堂という店を構えているというだけだった。


「それにしても良い月だね。兎が跳ねる気持ちも解るよ」

「そうかそうか、だったらおめぇもこっち側に来てもええんだぞ」

と言うのは半妖の妖怪として生きる事を選んだガタイの良い筋肉質のおっさんだった。
しかし人食の趣味はないと断られ少し柄にも無く落ち込んでいるようだ。
ぶつくさ人間は食わなくてもやっていけるのにと呟いていたのだが霖之助にはその言葉は届いていないようだ。

おっさんがこっち側と言っているのでついでに説明すると、彼ら半妖の者は専ら『中途半端ならどっちにでもなれる』事を礎として来ている。
この言葉自体は閻魔が言った台詞のようだがこれに感銘を受けた半妖達は自分のあり方を見直す要因になり、
結果として妖怪として生きる者と人間として生きる者が現れたのだ。

 


ただ、満月になると如何しても妖怪の血が濃くなってしまう。
そこで考えられた打開策は月一回の半妖による半妖の為の会合を行い、互いに押さえ合う事だった。

現在、彼らの情報網は幻想郷をある程度包み込む程広がっている。
元々人間と妖怪が共存する世界で人間と妖怪の間で恋愛が無いと言うのもおかしな話で、
案の定秘匿の愛なるものが幾つか成立していた結果がこの数十名の半妖達である。
とは言ってもやはり今の世知辛い世の中ゆえに妖怪として生きるものの方が多いのは悲しい事である。


「まぁ、無理はいわねえが、変なこと言われたらちゃんと相談しろよ? 仲間だがらな? ガッハッハッハ!」

「変な事はありませんよ。ですがもしそうなったら助けて頂いても?」

「ええさええさ! 霖之助はうちの雑学担当だしな!」

「はは、光栄ですよ」

 

照れたように頬をかきながら笑みを溢す霖之助。
あまりに想像できない姿だがやはり仲間と居る事で霖之助は安定したような気持ちになるのだろう。
酒も良く進んでいて肌も良い感じに赤く染まっていた。


「おい、件の話だがちょっと良いか?」

「噂をすればなんとやら、雑学担当補佐のお呼びだぞ!」

「噂も何も・・・どうかしたのかな?」

「今度寺子屋で社会見学を行なう事になったんだが、お前の店希望の生徒が些か多くてな」

 

慧音の言う希望者が多いのには訳があった。
一つは、一度霖之助が非常講師として訪れてからちょくちょく講師を頼まれていたから。
二つは、それらの授業で話したり考えたりするのが好きな生徒が食いついたからだろう。
慧音は本当に申し訳の無さそうな罰の悪い顔で頭を下げた。


「済まない、何とか出来ないだろうか」

「…うちに来ても見るものは少ないとは思うのだけれどむしろ其方が大丈夫なのかい?」

「ガッハッハッハ! おめぇの店は色々あるじゃねぇか! それを見せたり説明しているうちに日が暮れるだろうよ!」

「まぁ、確かに。客は万が一来てもそのまま接客できるだろうから…。大丈夫だろう」

「本当に助かる、済まない。今度生徒には――」

「いや、お客様が増える事はいい事だよ。店の商品を盗んだりする訳でもないし大丈夫大丈夫」


きっと彼の頭の中では白黒なり紅白が巡っている事だろう。
それと比べたら遥かに良いお客様な筈だ。


「よし、話がまとまった所でほれお前さんも飲め!」

「いや、私は…」

「駆けつけ3杯。ささ、ぐっとぐっと」

「うむむむぅ」

 

こうして見ると彼らは非常に良くまとまっている。
幻想郷から半妖に対する意識は元々少なかったものの、根付いているものも些か存在する。
それらが潰えるのもおそらく時間の問題だろう。

半妖たちの宴はどんどんどんどん良い方向で深まっていくばかりだろう。

 

 

 

 


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

満月の夜。
十五夜の夜。
山の上の神社ではそれを理由に天狗を集め、信仰を集めようという名目で開催された酒宴。
神様はお酒に強く、また天狗たちも酒に強い。
つまりはそれ以外の者にとっては酒宴の席の終盤は大変居づらいものである。


「それにしても天狗様やら神様やら物凄い量を飲んたねー」

と言いながら手持ちの扇風機を使い涼む河童と

「同時に凄い量の厄が零れてたわよ。酒は厄払いになるとは言うけどここまで拾うのは大変よ。」

なにやら蠢いているものを風景に溜息を付く厄神様。

「早苗も大変だねぇ。あんな大集合達に絡まれて」

「当分出て来れないでしょうね。もっと上手く立ち回らなくちゃやってられないわよ」

「まぁそんな所が可愛い所でもあるんだけどね」

「切実に考えるべき問題ね」

 

その言葉通り境内では先程から一気コールやら早苗ちゃんコールやらで大賑わいしている。
これも弄られ故の試練だろう。恐らく彼女に朝一の二日酔いは約束された筈。

 

「満月で呑んでるのか酒で呑んでるのかのか全く解らないわね」

「両方じゃないのかな。もしくは…」

「月に呑まされているか」「呑まれているか」

「まぁ、私達は月で呑む事にしましょう」

「そうだね。あくまで静かにしっぽりと飲みたいからね」

「騒がしい事は良き事かな」

「されどその中で自分を持つのはさらに良き事かな」

 

河童と雛という訳のわからない組み合わせだが、どちらも月の愉しみ方を理解している。
その為酒や月に踊らされる事はないだろう。2人の酒宴は静かに更け込んで行く。

 

酒を飲んでも呑まされるなとは良く言ったもの。
馬鹿と何とかは使いよう、物事は要領よく行なうべきである。
酒と月の愉しみ方は人それぞれなれど、その人一番の愉しみ方を大事にするべきと言う事だろうか。

幻想郷の十六夜の夜はまだまだ続く。
これからも。ずっと。ずっと。

 

 

 

おまけ


それにしても月見酒と言うのは非常に風流である。

満悦を見据えて心ばかりの演奏をしたり詩を書いたり。

太古の昔でも酒の席での月は貴重に扱われていたそうだ。

実際如何だか知らないがこれもその名残なのだろうか。

今宵の博麗神社でも慎ましやかに宴会が行なわれている。

 

 


「いっちば~ん! 射命丸文! 高速けん玉!」

「おー!もっとやれー!」

「地味だ~!」「射命丸ゥ!!」

 


おい、折角人が慎ましやかにって言ってる傍からこれかよ。
まぁ良いんですけどね。うん。

 

「にばん! 魔理沙! 弾幕を綺麗に――


「奴にスペルカードと八卦路を持たせるなぁあッ!!」


「いいや限界だ!奪われる!」 「流石魔理沙!そこに畏怖する嫌われるぅッ!!」
「本返せ!」「材料返せ!」「私の大切なものを返せ! やっぱもってって~!」

 


おめぇら人の話を聞けよ!!


つーかまったく勝手な奴らだおい! そこで静かにゲロはいてるスッパなんとかしろ!


そこのスキマ妖怪と腋巫女! いちゃついてないでなんとかしろ! えーでもぉ~じゃねぇ!
ピンクの悪魔も食いすぎ! 妖夢ちゃんがオロオロしてんじゃねーか! 本当にお前スマブラXに出演してないんだろうな!?

ってパチュリぃいいいいい!! 静かに吐血しながら倒れるなぁああ!! 静かにゲロ吐く奴並みに迷惑じゃぁあああ!
おい保護者早くって何そこでグースカねてやがるんですかぁああああ!? 何処でも寝やがるコアラちゃんですかぅぉおおおい!!
ほら、そこのメイドもそこで満悦そうにはなぢたらしてないでさっさとって倒れた!? 出血多量かよっていうかどうやったらそこまではなぢ出せるんだ!?


誰か医者ぁあああ!! おい誰だ鈴仙ちゃんの耳を木に長結びで結んだ奴!表に出ろって表だけどさぁ!!
そこのう詐欺も何とか言えって鈴仙ちゃん吊るしたのお前かぁああああ!?
なんで都合よく自分の名前要りの脚立なんて宴会に持って着てやがんだ! バレバレだぁ!

ちゅうかお前ら自分勝手過ぎだろ! ほら五月蝿くて眠れないって苦情来てるから! って言ってる傍から演奏し出すな其処の地味ーず三姉妹!!
ほら触発されたよミスティアも触発されて歌いだしたよほらみんなビタミンA不足でゾンビみたいな動き方してやがる! スリラーかってのきめぇえええええええええ!!

ってタンマ。慧音さん貴方の事じゃないんですよマジで! だからその鋭く尖った鋭利な物をこっちに向けないでくださいケツだけは止めてください!
こうなったら唯一の常識人である霖之助って真っ赤ぁあああ!? さっきの魔理沙のアレ被弾してたのかって言うか赤いよ!? むしろ紅い!?

なんで皆集まるとこんなにカオスになるんだよ! 皆好き勝手やり放題するんじゃねぇ! 節度を持って酒を愉しめって誰だよさっきから飛び回ってる犬は!?

もうやってられないんだぜええええええええええ!!

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刑事ボロンゴ
年齢:
34
性別:
男性
誕生日:
1989/11/08
職業:
学生兼店員
趣味:
楽の探求
自己紹介:
ヘタレ、知らない間に告白されて知らずに振っていたというポルナレフ的な体験をするような大ボケ。
散髪する金が勿体無い今日この頃。


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霖之助とその他女性キャラとの妄想話など
短編SSやネタSSなどを取り扱っています。
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