「やぁ私パチュえもんとか書けば大体如何にかなると思うの」
「文頭初っ端からパクリとかいけないと思うの。と言うか何の話だ」
いきなり冒頭で恐ろしい事をさらっと行なう魔女に突っ込みを入れておく。
「済まないわね。だけれど真似に近いパロティは控えたほうが良いと知らせるために使ってみたの」
「その為に一作者とファンに喧嘩売るのか」
「喧嘩ではないわ、併合よ。それでかつ調和だわ」
「某国みたいではた迷惑である事には変わりないじゃない。一体唐突に何なんだ? パチェが唐突なのは何時もの事だけど」
「だから、最近パロティネタが多すぎる事を嘆いているのよ」
「その一言の為だけに作者とファンに喧嘩を売るのね。逆に尊敬するわパチェ」
「代表して謝らせていただきます。作者さん御免なさい」
何時の間にか現れた咲夜を尻目に…、
しようとしたのだが咲夜が手に持っているケーキを見て完全に私の目線はそれに釘付けとなった。
「さて、ケーキが届いたところで話を進めましょうか」
「進めるも何もまだ冒頭じゃない」
「取りあえず、昨今のパロティ関連について調べてみたのだけれど」
「文頭から話の中核まで飛んでないかしら?」
キングクリムゾンも吃驚の会話順序のぶっとばし。
そんな半ば暴走状態にあるパチェを軽く軽蔑しつつ、ケーキを口に運ぶ。
やはりケーキはイチゴのショートケーキに限る、
とか考えているうちにもパチェの暴走は刻々と進行して行っている様だ。
「先ずパロティネタと言えば○アニよね」
「凶アニ?」
「誤字とはいえ伏字を暴かないの」
「解りましたお嬢様、きっと幻想郷アニメ局略して郷アニではありませんか」
「万事解決みたいな格好してる所悪いけれど違うわ、全然違うわ」
「万事解決みたいでは無く万事解決じゃ無いんですか?」
「だからそんな局無いって」
「探せばあるかもしれません」
「探すのが面倒ね。咲夜、紅茶お変わり」
「お持ちしました」
「パーフェクトよ咲夜」
「感謝の極みですわ」
「早速パロっちゃったのね。悲しいわ」
パロる? 新しい造語かしら?
最近多いわよね造語とか。 ピヨり…とかだっけ?
あとKYとか朝○の珊瑚礁問題だったかしら?
とか考えていると何やら指を指してきた。
痛いから。頬が痛いから。
「ヘル○ン○とは吸血鬼に従者、型にはまり過ぎよ」
「むにぅ咲夜、今更だけどパチェが壊れたわ」
「きっと元々でしょう」
「私はまだ壊れてないわよ失礼ね」
壊れる予定でもあるのかこの魔女は。
内心突っ込みを叩き込んで一息つく。
「つまりどこぞの名言をパクるなという事でしょ。簡単よ」
「簡単に言うと、パロるとはパクるとはちょっと違うのよ」
「如何違うのよ」
「内容の一部、面白い台詞や言動を稀にアレンジを加えて使って笑いを取る事だと私は考えているわ」
「つまり咲夜のスペカのアレはパロティって事かしら」
「何がですか?」
「ほら、幻世 ザ・ワールド。大体時止める上にナイフ使うとかハマりすぎなのよね」
「ああ、そういえばそうでしたね。というかさり気に私存在否定されてません? 私の存在自体がパクリと?」
「元ネタあってこそのパロティなのに蔑ろにするのね…」
「あれ? 無視ですかそうですか」
ぶっちゃけ今の瞬間からしばらくパチェを蔑ろにしたい。
「まぁとりあえずパチェはパロティが許せないと?」
「そういう訳じゃ無いのだけれど、笑いにパロティを使い過ぎだと思うの」
「そうは言っても面白いから使われる台詞な訳でしょ」
「そうね、場合によっては笑いが取れなくなってしまうでしょうね」
「つまりお笑いトリオ紅魔組は解散という事になりますね」
「結成式すらしてないのに何を言ってるの」
「とにかく、ちょっとパロるのを控えて欲しいのだわ」
「言いつつ早速か」
というか私達は別に笑いを取るために会話をしているのではないのだけれど。
「どうしろと」
「今日一日パロティ無しで過ごしてみるのは如何でしょう」
「ナイス案よ咲夜」
「咲夜、軽率に提案するべきではないわ。パチェの場合確実に面倒くさい方向に」
「早速始めましょう、この時からパロティ禁止」
「本当に唐突ねぇ」
ほら始まった。
ねぇ咲夜後で覚えておきなさいよと目配せすると、
申し訳無さそうな表情でこっそりと少しだけ頭を下げたように見えた。
「紅魔館に一日限りの精霊結界を張ったわ。この中にいる間パロったらキツイお仕置を受ける事となる」
ほら、早速厄介事をしでかして来た。
目を離したうちに魔方陣を展開していたようで少しづつ大きくなった魔方陣は紅魔館を包み込んだみたいね。
例え友人でもそこまでトラブルメーカーだとそろそろ周り巡る縁を如何にかしたくなるわよ。
「それで罰則は?」
「罰則はパロる度に黒い人が出て来てお尻を引っぱたくわ」
「……パチェ……貴方って子は」
「もうとても哀れすぎて何も言えませんね」
何が?とパチェは首を傾げたが時既に遅く、黒ずくめの男に背後を強襲されたパチュリーはあっさりと一発貰っていた。
「っ! ……、これは予想以上に痛いわね」
「いきなり笑わない~シリーズのルールをパロるとはね…」
うわ、勢い余ってパロるなんて私語使っちゃったし。
今日は油断が多いわね私。
――って咲夜~。後ろ~。
……良かった、口に出さなければセーフみたいね。
「アレは本当に痛そうでしたよねっ!?」
そうこうしているうちに咲夜もブッ叩かれていたようで、前かがみになりながら自らのお尻を擦っている。
はしたないわ、ドロワーズが丸見えよ。
「私が一体何を…?」
「JOJO○奇妙○冒険第三部、VSこれが俺のハンサム顔野郎に止めを刺す時のJOJOの台詞よ」
「ああっそういえば…」
取りあえず名台詞だったり有名な決まりやお約束の言葉を口にしなければ大丈夫じゃない。
案外楽な物よ。それにいざとなったら黙っていればいいだろうしね。
「まったく、話にならないわね」
「やれやれね」
「御二方共ご愁傷様です」
「ッ!?」「くっ!?」
間近で見ていて気付いたのだけれどこれは本当に痛いわね。
まさか自分自身が喰らう羽目になるとは重いもしなかったけれど、それ以前に
「なんで…?」
「パチュリー様はワザとですよね? 丈太郎とあと最近では涼宮ハルヒシリーズのキョンの命台詞ですね」
「ちょっと、パチェは解るけれどなんで私まで…」
「えーっと、割かしありきたりな台詞ですし何処かの誰かの台詞と被ったのではないでしょうか」
「なんですって。だとすると本当にうかつに喋る事も出来ないじゃない」
「アウトの台詞の設定を忘れていたわ・・・うかつ」
「南無」
「さよならです」
「ひぎぃ!? 痛い!?」
ひぎぃもどうやら名台詞らしいわね。
2回叩かれてるし…。あだっ!?
「南無も駄目なの―いだっ!?」
「ぬ○べ○ですね。懐かしいですわ」
「召喚主をも襲うとは仕事熱心じゃない」
「ちょっと基準が厳しすぎやしないかしら」
「どうしたのレミィ? 臆したのかしら」
「呆れてるのよ」
「確かに少々NGワードが多すぎるのでは?」
「でも名言なんてそうそう無いから大丈夫よね」
「甘いわレミィ、天心甘栗並みに甘いわ」
「適度な甘さねパチェ、ハローそしてさよなら」
――ササッ
「ん? むきゅっ!? きゃん!? あべし!? くぅ!?」
「銀○ネタだったっけ? それにしてもまさかの容赦ない4連撃。持ちネタ、北○、小町とか悲鳴にもバリエーションがあるのね」
「お嬢様流石です、其処にシビレないし憧れもしませんが」
「咲夜もさよなら」
「――ぐっ!? あぅ!?」
「最近は改変ネタのパロって言うのは良くあるのよねぇ」
「所でなんで咲夜は二度叩かれたのかしら?」
「悲鳴があれよ、ぷ○ぷ○の黄色い奴の唯一喋られる台詞を使っちゃったのね」
「細かすぎよ。やっぱ止めましょうよパチェ」
「ふふ、貴方が私を阻止しても第二、第三の私が現れて計画を続行するでしょう」
「あら、鋼○ジーク?」
「…!?」
「あ、今のは痛そう。と言うか流石に今のはワザとでしょパチェ?」
ついにショックで気絶したパチェを見ながら今後起こりうる事を想像して血の気が引いて行くのを感じる。
私達は舐めていた。パロティ禁止と言う恐ろしいルールを。
過去幾度と無く生まれてきた物語たち。
その中でも日々これからも増えていく名言たち。
それらをわざと避けて行く事等返って不可能ではないかと思うのだ。
やたらと意識して痛い目に逢うくらいならある程度頻度を守って自由に書けば良い…のか?
確かに狙ってパロる事もあるだろうけれど、
決して元の品位を落とさないようにしようと心に決めるレミリアであった。
紅魔館は今日はさらに朱に染まる事になりそうだ。
やれやれだぜ。
――いだい!?
とりあえずパロはある程度までは最高とだけ。
ハヤ○は微妙にやりすぎかな…。
そして自分もやりすぎ、御免なさい!