何時もの香霖堂、そこに珍しく何時もは見ない顔が一つあった。
音速の新聞記者、射命丸文である。
「そんな訳で新聞の購買数を上げる為に協力して欲しいんです。」
どんな訳で唐突に何を言っているのか。
そして何を考えているのかさっぱり解らなかった。
「とりあえずなんで僕に相談しに来たのかな?」
と、遠まわしに邪魔者扱いしつつ半眼を向ける。
そこには鴉天狗のブン屋、が営業スマイルで存在していた。
「幻想郷で良識があって知識もあってそれでもってまともに立ち会ってくれるのは貴方くらいしかいませんから。」
・・・前言撤回、寂しげな笑顔で存在していた。
まぁ、よくも考えてみれば解ったことであるが彼女に対してまともな対応を取る人物は限りなく少ない。
言ってしまえば自業自得なのだがブン屋で有名な彼女の取材は実質盗撮とも変わり無く、
また書かれる記事も取材対象の恥を晒すような事ばかり書かれるので実質幻想郷の嫌われ者といった所だろうか。
そしてそんな彼女の友人である、通称バカルテットは知識と良識がある妖怪の部類には入らない為、
他に頼るとすれば里の守護者か図書館の魔女か人形遣いの子、もしくは僕以外は居ないだろう。
「まぁ、頼る相手が少ないのはよく解ったけど他の方は駄目だったのかな?」
「えーとパチュリーさんは最近病気で床に伏してますし、慧音さんは寺子屋や喧嘩する不死人の事で手一杯みたいですし、アリスさんは以前書いた記事でその・・・。」
両手をもじもじさせつついすに座る彼女にとりあえずお茶を渡す。もしかするとついでに何か買って行ってくれるかも知れないしね。
「ああ、件の人形のスカート捲りの記事の――。」
「あ、お茶有難う御座います。ええ、まぁ・・・。それで頼れる知識人が貴方だけという事になってしまって。」
やっちゃったと言うかのように舌をちょろっと出す彼女。
しかしあまり新聞関係に詳しくない僕に聞かれても如何助言していいか困るのだが、
「それは大丈夫です。今日聞きに来たことは良識のある人が欲しがる情報についてですから。」
「・・・?如何言う事かな。」
「えっと、つまり新聞って情報を取り扱うじゃないですか?ですが最近スキャンダルな記事とかは余り人気が無いみたいなので、それだったら普通の人は一体どんな情報を欲しがるかなーと。」
「つまり、一般人はどんなことが知りたいかを調べるために意見を集めに奔放したが、結局相手にされなくて泣く泣くここに来たという事かな?」
「うっ!・・・正にそれです。やっぱり私は嫌われてるんですかね・・・。」
ついに波駄目になった少女をなだめつつ、ゴシップ記事や盗撮を繰り返していたらまずそうなるだろと言うツッコミを喉の奥に仕舞う。
「まぁ、売れない次いでだからゴシップ記事とかを書くのを辞めて実用できる記事を書いたら如何かな?」
「ふぇ?」
「つまり役に立つ情報を新聞に載せるんだよ。例えば気象情報が解れば嬉しいね、これは幻想郷を飛び回ってる君達が一番解ることじゃないかな?それは人間には完全に予測し切れないからあったら嬉しい情報だろう?」
茶のおかわりを出しつつ少しづつ提案していくと、彼女の沈んだ表情だ少しづつ明るい物になって行く。
「なるほど、気象情報はもちろん普通皆さんは自分が知らない情報を欲しがりますよね。」
「そうだね、知らないことは怖いことでもあるから。でも加減はしなくちゃ駄目だよ。どっかの予言新聞とかそういう知ってはいけない情報まで出歩かせると大変なことになるから・・・、と脱線したね。」
最近見ていた怪奇物語に載っていたことなのだが、此処では必要ないからこれ以上は省略して眼鏡を直しつつ本題に戻る。
「そうだね、後欲しい情報は最近起きている事件についてとかかな?」
「最近起きている事件ですか?」
思い当たる物があるのか頭の上に豆電球を点灯した彼女が勢いよく顔を縦に振る。
「そうだね、少なくとも事件の犯人の・・・まぁ実名を出すのは避けて知らせることによって周りの警戒をする為の情報を知らせれば危ない場所だったり行動をしなくなるだろうからね。」
「ふむふむ、なるほど。」
メモを取りつつ一々頷いてくれる彼女の反応に些かの喜びを感じたのは関係ないことだ。
「それと何処何処でこういう行事があります、とか行事では高いう事が行われましたってのは基本だけど、それを手伝う事変わりに密着取材させて貰うとかは如何だろう。普段出来ない様な事も出来るし、自分が体験することで伝え易くなるだろうからね。」
「ああ、そんな手が!?」
「けど場合によっては迷惑にしかならないこともあるからそれは思慮分別して置いた方が良いね。それとまぁ行事にもよるけど余りにも興味が沸かない事避けたほうが良い。君が興味を持たないという事は回りも興味を持たないだろうし、」
人それぞれだけどねと苦笑しながら言っておく。
話していて関係ないと除外したのだが、案を出すたびにこくんこくんと頷いたり一々反応をくれると中々に嬉しい物がある。
魔理沙は霊夢とは違って一々反応してくれるという物は有難い事でもあった。
すると突然元気良く立ちあがった彼女は、
「ご指摘有難う御座いました!やっぱり貴方に聞きに着てよかったです!何か悩み相談に乗ってくれたみたいで心地よかったですよ!」
感謝の極みと、最高の笑顔を見せるとメモにものすごい勢いで先程言った内容を書き込んでいた。
「いやいや、格段何もしてないし褒めても何もでないから。」
照れくさかったので多少皮肉を交えつつ答えるが、それを否定しつつ彼女は続ける。
「いいえ、かなり助けられちゃいましたよ!もしかしたら霖乃助さんは人の話を聞くのも話すのも得意みたいなので悩み相談室をやってみたら以外にイケるかも知れません!早速この事を新聞に――。」
「ちょっと、落ち着いてくれ。そんな事言われてもって・・・・。」
もう居ない。さすが幻想郷最速の人物。ひとたびやると決めたらスデに行動は終了しているようで神隠しのようにパッと居なくなっていた。
彼女が居ると魔理沙同様慌しくなる店内だったが、話もしっかり聞いてくれるのであれば別段魔理沙よりは問題無かった。
――と、思ったら。
次の日には指摘した事を忠実に再現した新聞とある事が載っている号外が配達してあった。
香霖堂、お悩み相談請け負います。
と書かれた号外記事には人の悩みを理解してくれるだの、優しく紳士に語りかけてくれるだのベタ褒めで読むほうが恥ずかしくなる言葉がずらりと並んでいた。
そこまで大した事をやって居ないと言うのに。・・・いや、褒められて嫌な気分はしないが。
勝手に新しい仕事を作ってくれなくてもいいじゃないか、と内心少し悲しかった。
すると束の間に、客が来たようだ。しかも案の定
「あのー、相談に来たんですけど今やってますかね?」
お悩み相談のお客様(紅魔館の門番の子)であった。
仕方が無い、もうこういう事態になってしまったのであれば後には引けないだろう僕は店の入り口に看板を立てることにする。
「はい、お悩み相談やっておりますよ。」と。
しかしやって行けるかどうかは不安である。
そしてその不安と不満をため息に変えて放出しつつ最初のお客様の相談に乗る――。
今日も香霖堂は晴れでかつ平和であったそうな。
はい、そんな訳でWEB拍手で香霖が他の東方キャラの相談にのる企画を発案致します。
まだ仕上がっていないので企画を発案しているだけですが、
仕上がり次第どんどん追加していく予定です。
・・・管理人は口下手なので相談されたことを解決しきる自身は無いのですが、
頑張ってみます。というか香霖が照れてると自分で書いておいて噴いたwwww
ごほん、少々壊れましたがそれでは仕上げてまいります。