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23 . November
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03 . November
あいさつとか置いといて。
乱雑にリハビリ的こぁーSS意味不うはおけ。








幻想郷においてはこの季節は非常に肌寒くなって来る。
明け方に関しては特に酷い。生半可な格好で空なんて飛んでいると確実に体温を奪われる事だろう。
去る入道雲、乾いた木枯らしと共に幻想郷に一足速い秋が訪れていた。







されど時期的にはやはり中途半端。
紅葉も無ければ特別寒い訳でもない、日によってはまだまだ暑い日だって存在するのだ。
しかしうっとおしい湿気が無くなったのはどれだけ都合の良い事か。

洋館で地獄を超えるのではないかと思わせるうだる様な蒸し暑さとは当面お別れだ。
そもそも日本の亜熱帯の気候に洋館を建てるとは非常識にも程があると愚痴の一つでも零したいが、
それを許さないのが現在の主な訳であって、さらに言えば文句一つ言えない立場でもあり、
その愚痴の変わりにふっとため息を一つ出した。



「では予約したものを見せていただきますね」
「ああ、其処の風呂敷の中に縛ってあるから確かめてみると良い」

相変わらずこの店は閑古鳥が鳴いている事だろう。
カウンターの前には銀髪で眼鏡、常に気だるそうに読書に勤しんでいる店主が一人と、
ヴワル図書館の史書小悪魔女史当人、私の姿があった。

霖之助が指差した先に少し大きめの風呂敷包みが佇んでいて、
頭の上のそれをぴこっと動かしながら、開いて目的のそれを一つ一つ丁寧に目を通す。
ここら辺の期待に添えるのも小悪魔としての仕事だ。

もちろん小悪魔として悪戯の方も欠かさない……という訳にも行かない。
吸血鬼やら魔女やらそんな者が屯している場所での悪戯は確実に寿命が減る。
芸人魂だとかどこぞのマゾう詐欺じゃあるまいし。

かといって主人の世話先になり得る者に悪戯する訳にもいかない、
また其れでなくても目の前に居る青年には特にする事は許されない。
ストレス解消不能、八つ当たりする先も無い。これも小悪魔の立場を見事に物語っていた。
と、言う訳で日に日に小悪魔は少々口が悪くなるのであった、まる。


じぃっと仕舞われたその本らを見てしっかりとリストに載っていることを確認すると、
ついでに中身をはらりはらりとめくりながら確認する。万が一の可能性もあるので。

「……それ程疑わしいのかな?」
「ええ、魔理沙さんの例がありますし」

と言うのは嘘。実際には抜けたページがあるか確認しているだけ。

以前本を返すと言われ騙されてさらに本を奪われた事例はあったが、
目の前にやる気無く、客を目の前に読書に勤しんでいる彼がする訳が無いと思えたからだ。

小悪魔女史曰く『悪魔曰く、騙したい相手には気立て良く接せよ』に、まったく掠りもしていない。
だから騙しなどしないだろうと……、まぁ気立て以前に率直に言えばこの男。まったく誰にも優しくないので判断材料になり得なかったりする。
ので、しっかりと魔理沙の事を加えつつ嫌味をじわじわと繰り出して鬱憤を解消する又とない機会を見逃すはずもなかった。


―――――今の私は悪魔らしい笑い方をしているのだろうか?



「それは悪かったと言っているじゃないか」
「まるで魔理沙さんの保護者さんみたいな口の利き方ですね」
「あの子を保護できる人物が存在するか疑わしい限りだね」

とか言って人一倍彼女の心配をしているくせして何を言っているやら。
寝言は寝ているからこそ寝言なのだ。ならば起きて言うことは妄言だろうに。
あ、これは口に出して行って置けば良かったかも知れないと、
タイミングを逃した彼女は少し眉を顰めて小さく舌打ちをした。


「それはともかく、確認終わりましたよ」
「代金は既に貰っていたね。それじゃあ気を付けて帰っておくれ」
「言われなくとも客の前で本を読み続ける方の店に長居する気はさらさらありませんよっと」
「……ああ、そういうつもりで言ったんじゃない。そう伝わったなら謝るよ」
「勝手に受け取っただけですよ。謝られても困ります」

この店主はデリカシーに欠ける癖して非常に紳士的だ。
矛盾しているそれがやたらとまた私を苦しめる……?




「まぁとにかく、気をつけて帰るように。特に…」
「魔理沙さんは今頃妖怪の山に茸狩りに出かけてますから大丈夫ですよ」
「あれ程控えるようにと言ったというのに、全く」

あれ程?それ程頻繁に会っているのか?
……何を困惑している小悪魔。目の前の店主がちびっ子一人大事にしているからってお前に何が関係ある?
目の前の男はお前の鬱憤解消の捌け口に過ぎないだろう。
何を本気になっている?本気?何が本気?お前は私は?


「ふふっ♪」

鼻で自らの思考を嘲笑して、すべての思考のやり取りを投げ捨てる。
少なくともこのまま長居すれば帰る時には魍魎跋扈する時間帯になってしまうだろう。


「とにかくこれで失礼します。魔理沙さんによろしくお願いしますね」
「ああ、お手柔らかにと伝えておくよ」


や、止めさせろと言うに事を欠いてこの男は…。

ともかくこれで夕方頃には主の屋敷に辿り着ける事だろう。
なんとなく、後ろ髪引かれる思いを感じながらもその場を後にした。



景色が前から後ろに、それなりの速度で駆け抜けていく。
太陽の傾き具合も然程時間に融通が効かなくも無いと示唆している。

……そういえばこれで彼と自分の主の商談が終了した訳だ。
つまり後は主人の意思関係無しに好きに出来ると言うもの。

……明日も、理由なく来よう。
そしてこのにとことん悪戯して店主を困らせてやろう。

……突然抱きついたらあの男は如何言う反応をするだろうか?

……耳元で愛を囁いたなら何を感じることだろうか?

……私の魅惑に溺れさせたならばあの男はどんな顔をすることだろう。

……愉快だ。そして楽しみだ。





少なくともその笑顔は悪魔らしいものでは無く――――――




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男性
誕生日:
1989/11/08
職業:
学生兼店員
趣味:
楽の探求
自己紹介:
ヘタレ、知らない間に告白されて知らずに振っていたというポルナレフ的な体験をするような大ボケ。
散髪する金が勿体無い今日この頃。


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